Jan 08



静かなリーダーシップ (Harvard business school press) 原題は「正しいことを行うための、オーソドックスでないガイド」 – よこはま こうたろう – 神奈川県横浜市
邦題は「静かなリーダーシップ」と意訳していますが
この本を読みすすめる上で、中心にすえる概念としては、
原題の「An Unorthodox Guide to Doing the Right Thing」
つまり「正しいことを行うための、オーソドックスでない(正統的でない)ガイド」
方がしっくりするかもしれません
なぜなら、人を率いるというイメージのある「リーダーシップ論」より
正しいことを行うための「行動指針」の方が
本書の中で、より強く主張されるからです

中身は、著者の言うとおり、エッセイとして書かれています(P209)
また、本の前半で述べたことを、後半で繰り返し繰り返し引用されるので
本の最初から順番に読むことをお奨めします

幼いころから刷り込まれてきたヒーロー型の行動指針を見直し
理想と現実、社会と自分に折り合いをつけ
自分が納得できる正しいことを行うために
どのような行動をしたらよいのか

ミドルマネジメントを担う人々が
自分自身の行動指針を見つめなおす
良いきっかけになると思います
■ここで描かれる“静かなリ−ダ−”とは、
現場とトップの狭間に置かれ、
組織人としての目標と個人としての目標との間で意思決定しなければならない管理者、
とりわけミドル層に向けて貴重な示唆を与えるものといえるでしょう。
決して世間から脚光をあびるヒ−ロ−型のリ−ダ−ではありません。

■“静かなリ−ダ−”は三つの特徴を備えていると指摘しています。
 ・周りを見回し、人の言葉に耳を傾けて学ぶ<自制> 
 ・自分が世界を変革しているとは考えない<謙遜> 
 ・個人的な倫理観、感情、切迫感がもたらす<粘り強さ>

■こうして描かれるリ−ダ−像は、解説のコメントにもあるように、
 周りの状況をよく理解し、ネットワ-クを幅広く有した中で利害調整を円滑に行うことのできる
 日本型のリ-ダ-にあてはまり、加えて日常生活や人生の意思決定場面でも有効であると
 感じました。

 来る日も来る日も、無数の目に見えない小さな努力を続け、
 今日も組織、社会、世界を向上させている“静かなリ−ダ−”。
 そんな存在に、いつか自分もなりたいと思わせるキラリと光る一冊です。
: 従来のリーダーシップ論は、偉大なヒーロー型のリーダー像を強調してきたが、本書はそれとは違うリーダーのあり方を論じている。著者がタイトルでうたっている「静かなリーダー」が、それである。

静かなリーダーとはどういう人か。それは「忍耐強くて慎重で、段階を経て行動する人、犠牲を出さずに、自分の組織、周りの人々、自分自身にとって正しいと思われることを、目立たずに実践している人」である。自分の価値観に基づいて生きながら、自分のキャリアや評判を危険にさらすことなく、難しい問題を引き受ける人。身の周りに沢山いそうな、そういう人である。

ヒーローは他人のために自ら進んで犠牲になる人だが、静かなリーダーはそうではない。自分にも気を配り自分の地位を守ろうとする、健全な利己主義の人である。本書では、ヒーローモデルが全面否定されているわけではない。けれども、世界を動かし変革するのは、実は静かなリーダーであると著者は信じているのであり、その信念が本書の説得力にもつながっている。

著者は、ハーバード・ビジネススクールの教師である。事例をベースとし、多種多様な意見をまとめていく立論を読むと、教室での議論の成果が本書に生かされていることがわかる。本書の最大の特徴は、従来のリーダーシップ論とはまったく異なるリーダー像を打ち出している点である。静かなリーダーという着想がまずおもしろい。また、事例に基づく議論が説得的で、考察が深く、知的である。経営書には、妙に明るい共通の匂いがあるように思われる。男っぽい、野蛮な、体育会系とでも呼ぶべきにおいである。そういうにおいと違う本に久し振りに出合ったという感想を持った。議論が騒がしくなく、静かなのだ。

ただし、本書が主として対象としているのは、大規模組織の文字通りのトップではなく、むしろミドルだろう。組織の中でミドルはいかに生きていくべきか。組織内の日常的な問題解決に示唆するところの多い本である。(榊原清則)
静かなリーダーシップ (Harvard business school press)

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